本来水は無味無臭です。 雨水を調べてみても、蒸留水に近く、ミネラル成分などをほとんど含んでいません。 この点ではきれいな水と言うことができますが不純物をまったく含まない「純水」は、味の点からすると 湯ざましと同じようにとても飲めたようなものではありません。雨水は地球上に降った後に、 いろんな地質層や岩石層の狭い隙間に浸み込んでいって、いろいろなミネラル成分を溶かし込みます。 水に味があるというのは、鉱物分などを程よく溶かし込んでいるからですね。
さらに水には硬度があります。水には軟水と硬水があり、水に含まれているミネラル成分 (カルシウム、ナトリウム、カリウムなど)によって分けられます。1リットル中100mg以下が軟水、200mg以上が 硬水とされています。日本の水の場合はほとんどが100mg以下の軟水です。この硬度は水の味を決める大きな 要素の一つです。軟水は文字どおり口当たりがまろやかでやわらかく、飲みやすい水。また浸透が早く吸収 しやすいので、新陳代謝を促して老廃物の排出を助けます。一方硬水は、くせがあって飲みにくいと感じる人が 多いのですが、日本人に不足しがちなミネラルの補給に役立ちます。またミネラル成分のひとつである バナジウムには、血糖値をおさえるなどの、生活習慣病の予防効果も期待されています。
含有成分の他に水のおいしさを決める要素として水温があげられます。ぬるい水も冷たすぎる水もおいしくない ように、やはり適温というものがあります。一般に飲み物がおいしく飲める適温は、体温マイナス25度だと 言われています。大体10~15度の範囲として考えておけばよいでしょう。
実に人間の体の約60%は水でできており、 新生児だとこの数字はさらに高く、体重の80%が水とされています。これは人間に限ったことではなく、 生物体は一見固体のように見えますが、ほとんどが「液体」「水」なのです。そう考えるといかに人間にとって、 生物にとって、水が大事なものであるかわかっていただけるでしょう。
体の活動を維持するために、人は絶えず水を摂取し、排泄し、循環させる必要があります。人間の身体からの 水分排泄量は、静かに横たわっている成人男子で、1日約2リットルと言われています。もちろん体を動かした時や 暑いと時などはそれ以上の水分が排出されます。これだけの量が毎日排泄されているので、これに等しい分だけの 水分の補給が必要となります。排泄された水分はすぐに補う必要があります。水分は食物にも含まれていますから、 飲料水と食物などから摂取していきます。水分が不足すると、血液がさらさらでなくなり、脳梗塞、心筋梗塞と いった血管が詰まる病気が起こりやすくなります。水を飲むことは健康を保つ上で非常に大切ですね。
ダイエットの方法にもよりますが、ごく一般的な食事制限によるダイエットの場合は、水は普段よりもたくさん 飲む必要があります。人間は飲み物だけでなく、食物からも1日1リットル前後の水分を摂取していますから、 食事制限をすると体内の水分が不足しがちになるからです。水分が不足すると体調不良や脱水症状を起こす事も あります。
赤ちゃんや子供のみずみずしい肌は、年齢とともに失われてしまいます。小じわは、細胞内の水分が減って 皮下組織が縮んでしまうことなどが原因だと言われています。。美容も明らかに水が関係しいます。アルコール・ ベースの商品が多かった化粧水も、最近ではウォーター・ベースのものが増えてきてますね。肌の水分を奪う性質の あるアルコールよりも、刺激の少ない水の方が、美顔にふさわしいと考えられるようになったからです。
水と料理の関わりは深く、水の良し悪しでその料理は決まるほどです。そもそも郷土料理とはその土地に行かなければ、 その美味しさが味わえないものです。これはその土地の水で育ったものを食材とし、その土地の水で料理されるからです。 これは水に含まれるミネラル成分で産物が出来上がっていることが一つの鍵になっています。そしてその郷土ならではの 料理方法によって積み上げられた食文化が出来上がっているからです。一般的には、「和風の出汁」「炊飯」「湯豆腐」 「緑茶」には『軟水』、「しゃぶしゃぶ」「鍋物」「洋風のスープ」は『中硬水』、『硬水』は飲料(スポーツ後、 カルシウム補給)に適していると言われています。
ほとんどの水が軟水の日本。水は日本の食文化 とも切り離せない存在です。軟水のほうがふっくらと、おいしく炊けます。軟水の特徴は成分を抽出する力が強い ことです。このため苦味が出ないように短時間でだしをとる必要がある昆布やかつお節などの和風だしをとるのに 適しています。また、肉じゃがのような肉が入った煮込み料理や煮魚を、やわらかく仕上げることもできます。 吸い物や煮物など、日本ならではの調理法を生んだのも水と言えるのではないでしょうか。緑茶やコーヒーの香りや 風味を生かすにも最適です。
硬水が多い欧米では、当然それを生かした調理法が生まれました。シチューやポトフなどで、固い肉をじっくり 煮るときは硬水がおすすめ。カルシウムがアク抜きを促して、肉を柔らかくしてくれます。また、パスタをゆでると コシが強くなり、ピラフやチャーハンのようにパラリと仕上げたいときも硬水で炊いたお米が活躍します。 米は炊くより炒める、肉や野菜はオーブンで焼いたりローストする、ワインや生クリームを加えるフランス料理、 水の料理と言われるイタリアのアクアパッツアなども、硬水の土地ならではの発想と言えそうです。
無色透明で無味無臭なはずの水。でも大地の恵みを受け、それぞれに個性があります。水の個性を知り、プロの 料理人の中には、料理によって軟水、中硬水、硬水を使い分ける人もいらっしゃいます。おいしさや個性にこだわった 水は、立派な一つの食材、調味料と言えるますね。
硬度 | 用途 | 説明 |
---|---|---|
軟水 | 緑茶 | 味や香りがよく出ます。 |
紅茶 | 味や香りがよく出ます。ただ色を濃いめに出すなら中硬水で。 | |
コーヒー | 豆本来の渋みや苦みを味わうことができる。 | |
粉ミルク | ミネラルが調整されているので超軟水がよい。 | |
昆布だし・干し椎茸 | 低硬度のものの方が繊細な出汁が取れる。 | |
ごはん | やわらかめに炊くなら。 | |
中硬水 | コーヒー | エスプレッソでは苦み・渋みが除かれる。 |
煮干し・かつお節 | 臭みを消してくれる。 | |
バエリア | シャッキリした固めのごはんが炊ける。 | |
鍋もの・しゃぶしゃぶ | 素材の旨みを残してくれる。 | |
パスタ | コシの強さが出る。 | |
やや高めの中硬水 | ビーフシチューなどの肉料理 | 肉を軟らかくし肉の臭みを取ってくれる。 |
1. 朝1杯の水を習慣に
朝、水を飲むと胃腸が目覚めてご飯が食べたくなり、ご飯を食べるとお通じもスムーズに。
2. 1日1リットルを目標に
1日に5回くらいのタイミングでコップ1杯づつ飲むと、ちょうど1リットルくらい摂取できます。
スポーツの後など、たくさん汗をかいた時には、水に天然の塩を少し入れると効果的。
水が電解質になって吸収が早まります。
3. 乾く前に飲む
のどの渇きがくる前に水分補給をすると、様々な代謝がうまくいきます。
4. お風呂上がりは、内と外から水分補給
お風呂上がりは、皮ふがふやけているので水分があるように感じますが、実は、たくさん汗を
かいているので水分は不足した状態。
◎内からの補給
出ていった汗と同じくらいの水を飲んで水分を補給しましょう。
◎外からの補給
ウォータースプレーなどで、お肌にもたっぷりと水分を。